ノンビリムラのこれまで3年間の数字と変化

まず、3年間で何があったかを、淡々と書いておきます。
数字で見るノンビリムラ
直近1年間の数字を整理すると
- 年間来訪者:2,850名
- 来訪者の満足度:4.81/5.0
- ムラビト数:400名(個人+法人)
でした!
数字の解釈として、「試しに来てみた場所」から、「何かの期待に応えられている場所」になってきたのかなと、前向きに捉えています。
イベント後アンケートの任意コメントは77件。そのうち、ありがとう、楽しかった、素敵、癒し、安心──ポジティブな言葉が含まれていたのは、約7割。
内容の特徴として「自然の中で思い切り遊べた」という体験的な感想と、「人の安心感がよかった」という関係的な感想が、並んで書かれていることが多かったです。

参加者が「やりたい」と書いてくれたこと
アンケートの中の「次に何をやりたいか」の内容を分類すると、こんな順番になりました。
- 水・川遊び:16件
- キャンプ・宿泊:13件
- 火・料理(焚き火、BBQ、ピザ等):12件
- 山・秘密基地・探検:12件
- 農・果樹・畑:10件
- 生き物・動物(虫・鳥・鶏など):10件
- 音楽・マルシェ等イベント:7件
- ものづくり・工作:4件
眺めていると、これって「やりたいことリスト」というより、「普段できないことリスト」なんじゃないか。
水で遊ぶ、火を扱う、暗くなるまで山にいる、生き物と関わる、自分で何かを作る。
どれも、人類が何千年も普通にやってきたことだから、本来ならわざわざ「やりたいこと」として書き出す必要はなさそうなこと。
それがリクエストとして書き出されているのって、少し変だなぁと。

数字に出てこない、嬉しい変化
夜利用とムラビト企画
当たり前ですが。最初の頃は、私たちが企画したイベントに人が来る、という日々でしたが、最近は、ムラビトさんたちが企画を立てたり、夜ごはんや花火したり、Youtuber活動したり、それぞれ友達連れてきたり、ネパール人をたくさん呼ぶ会が起きたり、多様で自由で広がりがあるような状況に変化してきました。
ビオトープと竹転
ノンビリムラのフィールドは、元々は道路にはみ出すレベルの放置竹林で、狂った様に竹を切り続け、開拓してきました。敷地購入当初は「本当にここ買うの?」と家族からも友人からも心配されました。
しかし、そもそも山を買おうという発想は、私の案ではなく、友人の小言がきっかけで、数人のファミレストーク的な中で盛り上がった幼稚な妄想でした。
当時、月に2~3回映画を観に行く友人が、前拠点での活動終了後に「かんたさん、山を買えばいいんじゃないっすか」と言われ、「えっ、山って買えるの?」という感じで。ゆるっと山の土地を調べて、何度かドライブしたりしてたりを1ヶ月くらい続けてたら、とある不動産屋さんから、候補地3つのメールが来て、今の敷地に出会いました。
購入前に、県土事務所、市役所、町役場に使用条件の裏どりをしつつ、十分遊べそうと確信が持てたタイミングで、安易な気持ちでクラファンをやってみるも、よく分からず、友人たちから、あーしろ、こーしろと助言を受け、どうにか達成。
その後は、前述したように、竹を切りまくり、山小屋やウッドデッキを建て、果樹とハーブを育てまくり、鶏の飼育と採卵をして、ビオトープをかれこれ15箇所ほど作りました。気温と共に、泥に水草が芽吹き、カエルやトンボが産卵し、メダカや水性昆虫がボウフラの個体数調整をしてくれています。ちいさな地球です。
森の生態系が「戻る」というのは、こういうことなんだ、と毎回感動を覚えることができました。
人間が手を入れることで、人間以外の生き物が増える。ご都合ペットにするために買ってきた生き物ではない、自然界の生き物が、人工的な、庭的な、里山遊びフィールドを選んで、居着いてくれた。誇りに思える手触りのある実験です。

小屋、デッキ、果樹の収穫、小規模養鶏
3年目に入り、ラズベリー、ブルーベリー、いちじく、桃などを筆頭に、果樹の1/3くらいが実をつけ。鶏も、放牧スタイルで、ほぼ無人で育てて、卵がたくさん獲れました。有精卵からヒヨコも孵り、ムラビトの自宅で育てたり、大きくなり過ぎたら、ムラに帰すか、別のムラビトのご家庭へ。各家庭のレポートがみんなに共有され、緩やかに育つ集合知と物理的な場所。
重機を使わない開拓と土留め
整備は、できる限り重機を使わずにやってきました。
スコップ、つるはし、手、知恵、協力。資材や道具は極力プラスチックやビニールは使わずに。
美しさと楽しさが持続可能になるように。例として、ミニ蛇籠の石垣は、①土留め、②爬虫類の住処、③美しさ、④風通し、⑤明るさ、という、4つの効果を狙って設置の判断をしています。
重機の方が100倍速いと思います。しかし、外注したり、動力のある道具を最初から使うと、そもそもその作業がどれくらいの難易度で、難しさのボトルネックが理解、把握できません。これが理解できないと、道具によって何倍効率的になるのか測れません。
最初から資格が要るような最強重機を使うより、自分の身体でやった方が、自分たちの学習的にも、経営的にもいいことがあるんじゃないか。
誰でも、トライできそうなギリギリのラインを探すことは、楽しいし、ちょうどいい気がしています。
日本ミツバチの養蜂、巣箱入り
今年いちばん嬉しかった出来事の一つは、日本ミツバチの入居です。日本ミツバチは、西洋ミツバチと違って、人間が「飼う」というより「来てもらう」という関わり方になります。巣箱を置いて、待つ。来るかどうかは、ハチが決める。その巣箱に、今年、ちゃんと群れが入ってくれました。
素人DIYの延長です。プロの友人も少し頼りましたが、基本は知恵と工夫、トライ&エラーと回数。「これできるんだろうか」と思っていましたが、「来たらオモロイな」と。しかし、来たら、超感動しました。ミツバチたちが、花粉を採集しに行ったり来たりする姿は、とっても、とってもかわいいです。

「やってみた人ができるようになる」
自画自賛みたいになりますが、成果を並べてみて改めて思うことは、──ビオトープ、養鶏、果樹、開拓、養蜂──これらは、3年前、誰一人やっていなかったこと。
土木の専門家だったわけじゃない。
林業のプロだったわけじゃない。
養蜂家でも、養鶏家でも、農家でもないただの人。
普通の人たちが、たまたまノンビリムラに立ち寄り、通い、面白そうと思うことがあって、それぞれが並行に、たまに連携したり、試行錯誤していたら、場所も人も少しずつ進化、ファインチューニングされた。
現代では、何かをやろうと思うと、まず資格、許認可、専門業者、補助金──そういうものが先に来る。「自分でやってみる」という選択肢が、選択肢にすら入ってこない。
ノンビリムラでは、もしくは、里山には、その「やってみる」を、もう一度、当たり前に戻す力場があるのかもしれません。

でもまだ、これはなんでもない活動
「いいスタートを切れたな」とは思います。応援くださっている皆様、本当にありがとうございます。
しかし、来訪者2,850名は、福岡市人口の0.2%にも満たない。通うムラビトも400名程度。ローカルには少し知られてきたものの、マクロ環境への影響は誤差レベル、社会インパクトは0と言ってもいい。
来ているのは、もともと自然や手仕事に関心がある人たちであって、関心がない人たちにはまだあまり届いていないような気がします。
ただ、3年やってきて、学びがあり、可能性も芽生えた気もします。それが何なのか、これからもう少し言葉にしていきます。
そのためにまず、私たちが今、どこにいるのか、データで確認し、捉える問題に対する解像度を上げておきたいと思います。